トマス・セドラチェク

ゴーレムは、ユダヤ教のラビが語った警告の物語だ。「人間が自分に仕えさせるために作ったものが、あまりに強力な力を持ってしまい、破壊的になることがある」とね。ゴーレムは、テクノロジーやAIのシンボルにもなり得るだろうし、恐らく市場もそうだろう。 ハイエクは、資本主義の古典的な価値に立ち返っていた人だ。今の経済は資本主義ではなく、「成長資本主義」だ。我々は、成長に囚われて資本主義の本当の価値を捨てようとしている。人間的価値より経済成長を優先するなら、それは本当の資本主義ではない。経済成長をするのは素晴らしいが、成長への偏愛は止めよう。このような経済学の根本的な哲学にハイエクが貢献したのは間違いない。ハイエクの思想は、偏った考えの人たちにハイジャックされたのだ。偉大な思想にはしばしば起こることだが。 全ての経済学者は、アダム・スミスに立ち返る。経済学の父だ。アダム・スミスは市場は完全でないことを認めていた。非合理的な人間を統合させることの限界を分かっていた。